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2回目 マネジメントのエッセンス意思決定

意思決定のエッセンス(朝ドラ「マッサン」から)

朝ドラのなかで、ハッとさせられることがあります。 ドラマなので、役者が演じるリアリティーがあります。 ドラマの主人公はニッカウィスキーの創始者の竹鶴 政孝さんがモデルで、 そのドラマのなかの鴨居商店の大将役の鴨居欣二郎はサントリーの創始者である 鳥井信治郎さんがモデルです。
ドラマのなかで、赤ワインが売れなくなってどうしようかと対策を考えるなかで 鴨居商店の社員のなかに、マッサンも参加しています。 マッサンも自分の考えを発言するのですが、まったく採用されません。
そんななかでマッサンが、「なんで、私がいなければいけんのや」みたいな セリフがあります。 そのときに鴨居商店の大将のセリフが「仕事に携わる人間がみんな集まって、 いろんな立場で意見を言い合うことが大切や」といった応答があります。 これが意思決定のプロセスを見事に表しています。
最終意思決定は結局は大将がしますが、その過程では問題点の全体構造を、 あらゆる角度で検討することが必要です。 その過程で課題解決の焦点が絞られ、また全参加者の問題点と課題解決の方向性 が共有されます。
最後の意思決定は、関係者全員のそれぞれの立場からの情報を統合して、 最も強い問題意識を持ちかつ高い視野を持って判断できる経営者が決定を行います。

意思決定のエッセンス(戦国武将の意思決定)

これもテレビドラマですが、戦国武将が合戦の軍議の席で見かける場面です。
あの絶対独裁者であった織田信長の軍議の進め方も衆議を集めるというやり方です。 「各々の所存を述べよ」から始まります。
「恐れながら、今の戦況をかくかくの状況であり、このように”策”をなされる ことが懸命だと存じます」とそれぞれの武将が自分の存念を述べます。
大将は、次々に武将にその考えているところを述べさせます。 そのなかにおいて情報交換と対策案の交換がなされ、より深い問題点の焦点が 明確になってゆきます。 軍議のなかで、生死にかかわる侃侃諤々の意見の繰り返されます。 大将は、その成り行きを見守りながら核心をつかみ方針を決します。
現在の経営者も現場の現実を知るためには、関係者全員から現場の情報を吸い上げる 必要があります。
ここで最も大切なの自由に発言できる条件と環境をつくることです。 史実で見る限り、織田信長でも武田信玄でもその方策を取っています。
徳川家康に至っては、自分の意見はほとんど述べず、衆議の方向を充分見定めて 衆議が納得する方向で最終意思決定を行ったと言われています。 より合理的な意思決定は、問題点のあり方を明確することが重要な要件です。

  

意思決定のエッセンス(中堅量販店の経営者の意思決定)

たまたまか、伸びている中堅量販店の経営者は同じような意思決定方式を取っています。 これらの量販店においては、形態は少し違ってもSPAの方式の考えを採用しています。 SPAの方式とは、商品の企画から製造、物流、プロモーション、販売までを一貫して 行う小売業態です。
カジュアルブランドのユニクロ、洋服の青木や青山、家具・インテリア用品のニトリ など多くの量販店があります。 また、ホームセンターのカインズやソリューション型商品アイリス・オオヤマも似たような 商品展開を行っています。
これらの企業において最も重視されているのは、 品質・価格は当然として、顧客の立場に立った商品への”こだわり”です。
企業の命運を左右する”こだわり商品”の企画・試作品づくりはもちろん社員が行います。 多くの社員が携わり、日常的に新商品の開発づくりが行われています。 そうしたら、これらの多くの企画商品の最終の商品化決定をどのように行うか。
これらの企業では、すべての商品化の最終決定を経営者本人が大きく関わるのが特徴です。 「ニトリ」や「アイリスオオヤマ」では、最終決定会議で稟議なし即決します。 「カインズ」においては、決定会議もなく3分の説明時間の後に即決されます。 商品化の意思決定は、経営者の独自の感性で即決されます。
最終意思決定は、経営者が行わなければならない責務です。 ”こだわりの商品”が企業の命運がかかっているので経営者の独裁で決せられます。 情報とアイディアは多くの社員に依存します。 しかし、最も責任を要する仕事は経営者が行わなければならない仕事です。
もし、その仕事を経営者ができなければ、 最も使命感が強く最も企業精神を体現しているしかるべき人に権限を委譲するのが しかるべき経営者の役割です。
「カインズ」の例で少し付け加えると、商品化後のさらに最終チェックが行われます。 最終チェクは、多くのパート社員を集めて商品の社内展示会をおこないます。 そして、パート社員による商品評価が行われ、必要な改善がなされます。
何故パート社員が行うか。 それは、もっとも顧客の立場にあるからです。 その意味で、顧客が商品化の最終チェックを行うのがもっとも効果のある方法だからです。